レクサスLS460
わけあって輸入車を買えない(買わない)お金持ちにとって、1000万円を超える高価格の日本車の誕生は待たれていたもののひとつです。それで鳴り物入りで新たに[レクサス」というブランドを立ち上げたわけですが、試乗会で乗ったレクサスははっきり言って、トヨタ・レクサスでした。
車の仕上げや装備品の類はカタログなどでご覧のとおり首尾は上々です。個人的な好みを言わせて戴くならば、直進性と乗り心地、という基本的な部分において、価格ほどのレベルは満たされていないと思います。アシのチューンはもっともっと良くなる可能性を秘めています。
試乗会のテストメニューの中には、こうした緊急回避時にステアリング操作をアシストしてくれる技術を試す状況も用意されていました。一般的な要求レベルにおいては有効だと思います。が、個人的には自分の意思とは異なる挙動は、たとえプラス方向であるにせよ、違和感を覚えました。
これは歩行者などが突然飛び出してきた時の対処ですが、カメラが捕らえてブレーキを掛ける手助けをしてくれるものです。もちろん自分の目と反応の正しい対処で止まれるのですが、視認の一瞬の遅れとかでAからBへの踏み換えの遅れとか、寸刻の遅滞に対しては、こうした器械ものの方に軍配はあがります。
車庫入れを自動でやってくれる電気モーターPSなどは、今では軽自動車だってついてますからそれほど感激はしませんが、プリウス以来トヨタは経験を重ねてますから、いろいろ細かな点で洗練されてきています。この2台で適正車間距離を保って追走するレーダー走行はおもしろい技術で、行楽地へ向かう途中の渋滞走行時などには役立ちます。ですが、運転の楽しみを奪うものとして、個人的にはオモチャの範疇にいれたいところです。長距離運転で飽きてきたときには気分転換にはなると思います。
レクサス全体については、やはりトヨタ車という印象はぬぐえず、それもどこかで見たことのあるディテールを組み合わせた流行ものでまとめられ、日本車の技術の粋を凝縮してあると期待されるレクサスのイメージには達していないことを憂います。スタイリングはたとえばピニンファリーナに依頼するとか、そうしたことの意味合いも大事かと思います。
VW イオス
VW イオスはゴルフ・カブリオの後継車にあたる存在ながら、新規にEos(イオス)というネーミングが与えられています。今はやりの電動メタルトップで、クーペとオープンカーの2役をこなすスポーティな車です。
電動メタル・ハードトップという車種は、実はかなり昔から存在する車の形式なのですが、最近ではプジョー206CCが一気に注目を集め、あれ以来いろいろ仲間を増やしています。2分割で折りたたむのが一般的ですが、VWのものは5分割にされてコンパクト化をすすめ、トランクを嵩上げすることなしにトランク容量を稼いでいます。
トップを上げた場合と下ろした状態では、ボディ剛性に差があることは他の例と変わりありませんが、もちろんどのケースも現代の車ですから耐久強度的に不足することはありません。そんな中でイオスの美点は、フロントのピラーが立ち気味に作られていることで、頭上の開放感は抜群です。
VWといえば、ネガティブ・スクラブの発案者でもありましたが、今ではご覧のとおりゼロ・スクラブにセットされています。これはハンドル操舵時に、タイアの接地する踏面の接地中心と回転中心が一致するわけですが、路面フィールなどの点で無感覚に近いものがあります。反力感の無いネガ(この渦巻きのセンターが中心線より外にある)も嫌いですが、ゼロは更に好ましいとは思いません。5mmのポジ(この写真では渦の中心が右にくる)が個人的にベストと信じております。ですが、現代の車はタイアのSATであるとか、キャスター角であるとか、別の手段で不自然な感覚をかなり補ってますから、目で見たほどの不自然さはありません。
電動メタル・トップは確かに便利で快適です。30秒で開閉しますから信号待ちの間でも完結します。しかし、保守は大変ですが、布製の幌が懐かしく感じる今日このごろです。軽さにひかれるのでしょうか。しかしイオスは車としてよく出来ています。
フレンチブルーミーティング
FBM (フレンチブルーミーティング)会場の入り口付近はこのようにフランス車の洪水。ここに至る手前、茅野から峠道を登って行くと、コーナーをひとつ曲がるたびに、ヒョコッ、ヒョコッ、という感じで一台ずつフランス車が増えてゆく。そして連なって頂上の車山を目指す。
シトロエンC1の1・4リッター・ディーゼル。今回のFBMの中でもっとも興味深い車。個人的に欲しいなと思っているのはこの兄弟車のプジョー107Dです。オートリーゼンからもC1が展示されていたが、可愛くてとっても魅力的。
最近発表されたばかりの、ルノー・メガーヌのフェイスリフト車も展示されていた。目元がシンプルになり若々しくなった。電動PSもフィーリングがよくなったらしい。
これはシトロエンC6.3リッターV6のガソリン車。FBM参加者の注目度は高い。DSやCXを彷彿とさせる大型シトロエンの魅力は独特な個性的スタイリングと油圧サスペンションにある。C6のインプレッションは別項にあります。今年はこの車に乗って往復しました。CJ広報車です。
同じくシトロエンC6ですが、こちらはCARBOX/レマンカーズの販売する2・7リッター・ツインターボ・ディーゼル。テールランプ周辺のデザイン処理などリアスタイルがC6の大きな魅力。
FBMといえば、2馬力。このほのぼのとした出で立ちは自動車の原点だと思います。塗装がはげてもいかに錆びていようと、クルマは走りさえすればいい・・・しかし、それ以上に2馬力は楽しい乗り物です。ウチの2馬力も早く復活させてやらなくっちゃ。
2馬力のクランク掛け競走。こののどかさがたまりません。FBMってイイナー、とつくづく思う瞬間ですね。
トヨタ・カローラ
カローラはこれで40周年、10世代目にあたります。初代から全部乗ったことがあり、その度に進化発展してきましたから、当然ながらよい仕上がりを見せています。たとえば世界の大衆車ゴルフは今で5世代ですから、モデルチェンジ毎の改良を考えると、内容は相当すすんでいることになるわけですが、10回の変化は確かに認められるものの、車自体の魅力はどうなのでしょうか?。じっくり考えてみましょう。
もし自分でカローラを買うとしたらどれにするだろうか?、カタログを見て検討してみました。必要なものを選んで、要らないものを外して考えると、一番安い標準車になりました。1500ccの「X」というモデルです。もちろん5MTです。価格は140万7000円です。これにNAVIをつけると25万8300円の追加になります。あと、Xにはタコメーターが装着されないのですが、コレだけ欲しい場合でも後付けは難しいんでしょうね。
一番上級のカローラは1・8リッター4WDの「ラグゼール」で218万4000円です。これでも輸入車のゴルフなどより安いんですから、ナビをつけてもまだお買い得なのかもしれません。
これはバン/ワゴン版のカローラ・フィールダーです。フル装備の上にスポーツパケージが追加されていて、アシも若干硬めにセットされています。雨の日の高速道路などではカローラ・バンの営業(者)車が一番早い車の一台ですから、実力は証明されています。
カローラは良く出来た車だと思います。でも今のところ自分で買うつもりはありません。それは何故なのでしょうか?。特別に不満を覚える箇所は見当たりません。でもここが魅力という点もありません。これこそカローラがベストセラーを継続する秘訣なのでしょう。
個人的な見解というか、これからの展望を読むと、トヨタは将来プリウスのカローラ化を考えているのだと思います。ハイブリッドはやっぱり大きな魅力ですからカローラ並に量産=低価格化が実現すれば、商品性は無敵ですね。そうなれば自分も買うか?、そこが問題です。個人的な好みを言わせていただくならば、それはデザインにかかっています。最近のトヨタ・デザインはレクサスも含めてまったく独自性がありません。どこかで見たようなディテールをサラってきて流行に乗せているだけです。開発費も潤沢につかえるのでしょうから、もっと世界をリードするようなスタイリングを創り出してほしいものです。
トヨタ車のサイドブレーキは、足踏みで2度目にリリースする方式を採用する例が多いのですが、これは同じ操作でまったく目的が反対の仕事をさせるわけですから間違いのもとです。また緊急時に反復使用することができません。AT車の場合、左足でブレーキを踏む利点はいろいろありますが、ここでは長くなるので機会を改めます。その左足ブレーキに際して、発進時にいちいち踏み換えるわずらわしさがあります。そんな理由で大っ嫌いなもののひとつ。早々に改善の必要がありますが、このカローラに関しては昔ながらのレバー式で好感がもてます。これなら雪道などでサイドブレーキ・ターンも簡単です。カローラはMT仕様を残す数少ないトヨタ車ですが、良心的ですね。このMTがある限り足踏み式のサイドブレーキに出来ないことが、レバーを残す理由だそうです。
アウディTT
アウディTTが新型に切り替わりました。これまでのTTもシンプルながらユニークな造形でまだまだモデル寿命は長いと思っていたのですが、あのシングルフレームの顔に統一しつつある情勢では、あのままお面だけかぶり直すのも許されなかったのでしょう。
新型はちょっとサイズが大型化しました。あのコンパクトさが昔のポルシェを彷彿とさせて魅力だったのですが残念。しかしTTの造形そのものは基本が踏襲され、綺麗な面構成がしてあります。
こうして横から見ると、やはり911的ですよね。シートをストンとフロア一杯まで下に下げるとスポーツカーのポジションが得られます。外からは首だけしか見えませんが、肩がみえたらちょっとネ。電動モーター・アシストのPSは操舵力も軽く、全体に動きは軽快です。
後ろ姿も綺麗です。旧型の面影は残してありますが、かなり大きくなったことがわかるでしょう。
ステアリングホイールの下端を、スパッと水平にカットしてしまったのは論議の的。テレスコ/チルトの調整機構がありますから、操作上膝がつかえることはありませんから、単純にデザイン的な処理です。この部分に手が触れると違和感もあり、もともとセンターオフセットして凸凹に回るタイプを好まない私ですから、もうどうにでもしてくれという諦めがあります。
FSI直噴エンジンは、2リッター・ターボが軽快に吹けるし気持ちよい回り方をするので、コレで十分と思われ、もちろん、FFをオススメすることは基本的に変わりないのですが、今回クアトロはフルタイム4WDに進化しました。クアトロは3・2リッターV6エンジン搭載車に限られます。
従来のハルデックス型4WDシステムは、個人的には評価できませんでした。前輪がスリップするとその回転差によりポンプ油圧を発生させ、トルクは後輪にも与えられます。一見理路整然としていますが、雪道などで左右輪がスプリット・ミュー状態になりますと、2駆と4駆のオン/オフが頻繁に起きてチョロチョロと直進性が乱されます。レスポンスを上げて行けば行くほど酷くなるわけです。また前輪が滑るということは、ステア特性的にはアンダーステア状態ですから、そこで更に4WD化して後ろから押されるとプッシュ・アンダーとなりUSは増すばかり。なんとかステアリング操作でいい状態(オーバーステア体制)にもっていっても、さあここから・・・と踏み込むと、そこで後輪が速くなると4WDを止めてしまうわけです。ですから操縦性にはなんら貢献しません。この2点において支持できなかったわけです。
ですから、以前から前輪のタイアサイズを小さくするなどして、ポンプ油圧を常時発生させておけばフルタイム4WDになるのに・・・、と思っていたのですが、メーカー側の回答は耐久性や信頼性に自信がないという答えでした。
しかしアウディは昔から、4WDといえばフルタイム4WDに拘ってきましたから、A3のクアトロでもしぶしぶ我慢してきたと思われ、今回のTTではついにやってくれたわけで、拍手喝采の気持ちが一杯です。その手法はポンプ油圧を残しておいて、つなぎっぱなしにする、というものです。発表されているトルク前後配分は85対15で、常時15%は後輪も駆動しています。もちろん多版クラッチは一部滑っているわけですが、オイルが介在するし、回転差といっても通常の直進状態では前後輪は同じサイズで同じ回転をしているので、それほどの負担ではないわけです。もちろんアウディのことですから耐久テストもクリアされているでしょう。
アウディ技術者がハルデックス技術者を、説き伏せる図式が目に浮かびますが、ほんとうに良くやったと絶賛したい気持ちです。これでVWはもちろんボルボも救われるでしょう。万歳!。
シトロエンC6

10/25 シトロエンからC6が発表されました。事前に乗ってはいますが、HPに載せるのは今日が解禁日です。業界用語ではエンバーゴと言います。
箱根の試乗会以外でも、信州白樺湖の車山で開催されたFBM(フレンチ・ブルー・ミーティング)の往復のアシとしても乗るチャンスがありました。ちなみに往復約550kmの平均燃費は8・8km/lでした。この中には都内と横浜の自宅往復も含まれます。これら渋滞区間を除けば9・4km/lといったところで、マア燃費はまずまずでしょう。
C6はとにかく快適。この一言に尽きます。スーっと動き出しそのものもスムーズですが、まったく車体は上下動しない感覚で、4輪がそれぞれ別個に路面の凸凹を吸収してくれ、身体はゆすられません。油圧サスペンションは金属バネのように反発する感覚がないんですね。この乗り心地は往年のDSやCXを彷彿とさせます。素晴らしい!。シートには電動のランバーサポート調整がついていますが、ちょっと背面の高い部分が硬めで上が押される感覚があり、ランバー部はもうちょっと出てもいいかなーと言う感じ。もちろん油圧で車高を2段階に変えることができます。
我々のような職業の者は、この車に乗ってはいけない、と思いました。C6を普段のアシにしてしまうと、もう他の車は気掛かりな部分が目立って仕方がない状況となりそうです。

動力性能なんかどうでもよく、速く走らせる意識さえ欠落してしまいそうですが、安定性の高さゆえか知らないウチに速度が出てしまう感覚でしょうか。アイシン製6ATはもうおなじみですが、R20の街道筋では2000rpm前後の低いところで使っても、60km/hで6速を許容します。
外観のスタイリングは、シトロエンらしさがよく表現されていて独自性があります。とくに後部の造形は特徴的で、通常とは逆に反り返ったリアウィンドーはトランクリッドの開口部が広く、立ち気味のガラスはドライバーがミラーを通してみる後方視界も良好です。テールランプ周辺の処理は高級車のたたずまいがあります。

700万円クラスの車を希望するユーザーだけでなく、もっと高価な車を求める人たちも、一度はこのC6を味わってしまうと選定基準の変更を余儀なくされるだろう。本当の高級車とは装備品を集めただけではダメで、基本性能である直進性と乗り心地をきちんとクリアしていなければならない。これは後席でゆっくり過ごすためにも必要なことです。
Author:ヴィアッジャトーレ
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